2008年5月14日水曜日

菜の花と食料危機

 ここScotlandは春爛漫です。ちょっとわかりにくいですが菜の花があちらこちらで栽培されています。
飛行機や丘の上から見るとすごく綺麗です。昨年5月にここへ来た時に飛行機から見た一面の菜の花畑には感激しました。

 菜の花を菜種油にしているのかバイオ燃料にしているのかわかりませんがこちらは広い農地に色々と作っています。こちらの農業が採算が取れるのか?国としてどの程度補助しているのかよくわかりませんがエジンバラ周辺は多くの農地や放牧地がありきちんと作物が作られています。またスーパーでもScotland産の食品が多く売られています。

 さて最近「食料危機」とか「食料の高騰」という言葉をニュースや新聞で見ます。農業について論じるのはあまりにも奥が深すぎて難しいのですが日ごろ感じていることを書いてみます。

 私のかみさんの実家は兼業農家です。周辺は良く整備された水田でかみさんの実家もある程度の水田を耕作しています。私も日本にいる時は農作業をしていました。しかし稲作による農業収入では赤字なので現実は給与所得を農業につぎ込んで田んぼを維持しているのが実態です。かみさんの実家は中小規模の農家なので赤字は仕方ないとしても近くの比較的大規模な専業農家の方も経営はすごく大変なようです。これでは農業離れが拡大するのも無理はありません。私は日本の食糧自給率を上げなければならない、また農地は国の環境を維持するために必須と考えているので「ごまめのはぎしり」かもしれませんが農地を転用することは極力避けて行きたいと考えています。こんな時に国は集落営農という変な制度を導入し農業離れを加速させようとしています。(*1)

 合併を期にかみさんの実家の田んぼのある地域が近いうちに農地以外に転用できるなくなることが決まりました。これを受けて駆け込みで転用し大型スーパーなどを出店する動きが始まっています。かみさんの実家のたんぼの周り全てが転用や売却を考えているので私だけがんばってもどうしようもなくこれらの動きに同調せざるを得ません。これというのも国の農業政策が無策のため農業で儲からないからです。日本に帰ったときにはかみさんの実家の周りは大きく様変わりしていると思います。失われた農地は二度と元に戻すことはできないので考えただけでもぞっとします。            

 しかも高度成長期にはこのような開発はある程度必要があったと思います。しかし人口が減少しているこの時代に大型店を農地を破壊して作ることは個々の企業レベルで見れば生き残りのために必要かもしれませんがマクロで考えたら大変な間違いです。また全体のパイが増えていないので過去に農地を破壊して作った店舗を閉鎖して新しい店舗を作るのです。まさに焼畑農業です。これが規制緩和の悪しき一面です。

 すっと前から農業は国の生命線だから国費を投じて保護すべきと考えてきました。しかし農業もビジネスとして成立させる必要があるとかWTOがあるからとか、国際分業で日本は工業を担当し農作物は海外から輸入すればいいとかわけのわからない理屈をつけて農業を破壊して来たのが日本です。

 農業は国の生命線です。たとえば軍隊や国防に採算を求めるでしょうか?教育に採算を求めるでしょうか?(大学に採算を求めるのはどうかと思います、、、学生を呼びやすい研究に力を入れているだけで将来日本のために必要な人材が育成できるわけがない!) 農業もこれと同じです。採算度外視してやるべきです。しかし官公庁が無駄使いを許されないと同じく農業も当然効率化を計るべきです。また民主党のような単なるばら撒きでは農業離れを止められません。

 これから益々食料が値上がりし(*2)、日本に輸出しない国も増えて来るでしょう。その時にどうするのか?よく「農家は食べるだけは食べて行ける。」と言われますがその時には作物泥棒が横行しているでしょう。自警団を作って見張りする?とかすごく殺伐とした状態になるに違いありません。

 いずれにしても国の過去の無策の言い訳にして来たことのうちいくつかが崩れて来たことがはっきりしました。すぐに正しい対応をしてもらいたいものです。

*1 集落営農では中小農家が農地を出し、これを運営する法人を作り大規模な農業法人として利益を上げようというものです。しかし中小の兼業農家は人件費を入れなくても赤字です。上記法人が人件費を計上して黒字になるとはとても思えません。このようなことを見越して参加しない人には国からの補助が出ないので農家離れを加速します。いずれ集落営農が破綻してそのときに農家離れが加速すると推測しています。

*2 記事の受け売りですが値上げの原因は 

①地球温暖化による不作

②バイオ燃料需要を見越した先物買い

③オイル値上げによる農業コスト・輸送コストの上昇

④中国・インドなどの食料消費の増加

サイクロンでミャンマーの稲は大きな被害を受けたといい影響が心配です。                                       

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