2008年4月2日水曜日

いやな仕事

 仕事というものは楽しいことばかりではありません。大変なことが多いものです。日本に居た時のほうが大変なことが多かったです。それでも自分が実際の設計をしていた時は苦労もなんとかしのげましたが管理職になると設計する楽しみがないのでつらいものです。
 スコットランドに来て今のところ楽しく仕事をしています。こちらのメンバは優秀で優しくて日本人の私を気にかけてくれます。私も時々の昔の設計者に戻って遊びます。もちろんこちらの優秀なメンバの足元にも及ばないのでちょっと検討した内容を伝えたり調べたことを説明したりして彼らをインスパイア(実際は笑われる)します。何よりいいのは、日本に居ると管理でがんじがらめなのに比べてこちらでは場所が離れているために多少はゆとりがあることです。

 そんな楽しいこちらの職場でもいやな仕事があります。それは人に引導を渡すときです。
 優秀な技術者がほとんどですが一人マーケティングのメンバが居ます。彼がほとんど役に立たないのですが給料だけはいやに高いのです。こちらは一般的にエンジニアよりマーケティングのほうが給料が高いようです。歴代のマネージメントが先送りにしていた彼の処遇を私が尻ぬぐいすることになっていました。(私は結構このような仕事が回ってきます。)私の意見に対しても現地責任者がなんとか彼を活用しようと1年以上努力しましたが現地責任者も諦めて解雇することにしました。本日はマーケティングメンバに人員整理の通告をしました。会社としては必要なことですから通告せざるを得ないですがやはり辛いです。

 英国では解雇(dismissal)と人員整理(redundant)を明確に区別していますし、それぞれの場合で実際の退職するまでの手続きが違います。解雇は従業員が不始末をしでかしたとか能力が足りないとかの場合。人員整理は、従業員の遂行している業務が無くなったときに行うものです。解雇は従業員が誰もが認める問題を起こした場合は即時解雇できますが、能力不足の場合は教育をする等いろんな手続きを経てそれでもだめだという記録を残す必要があります。一方人員整理は従業員が行っている職務が無くなれば解雇できるので手続きは楽です。解雇される側からしても能力がなくてやめさせられたより、人員整理の方が次の職を見つける際に都合がいいです。ただし人員整理したら同じ職種への異動や採用はできないのでそこを注意する必要があります。わが社の場合はしばらくはマーケティング機能を無くしてもいいと判断したことと、仮に必要でもそのポジションに人を配置せずに私が行おうと思ったので可能でした。
 余談ですが英語で雇用はhire 解雇はfireで一文字違うと大違いです。昔タクシーのことをハイヤーと言ってましたが子供の私はタクシーよりHigherつまり高級なタクシーと思っていました。実際はhire(使用料を払う)車だったんですね。
 
 こちらでは法律で不当解雇とならないために人員整理の際に3つのStepを踏むことが決められています。今回はこの①を現地責任者と共に行いました。
 ①従業員に対して人員整理がある旨を伝える。会社内での配転の可能性を検討することや本 人がどうしたいかを考えてほしいことを伝える。
 ②従業員からの要求を聞く。また配転の検討状況について説明する。
 ③上記やりとりを踏まえて最終結論を通達する。

 本人からすれば突然の話であったと思いますが意外に冷静に受け止めていました。もちろん今回は会社内での配転を考えるとも話したのでまだ深刻に受け止めていないかもしれませんが、、、 家のローンや子供の教育があるので次の職が見つかるまでしっかり面倒を見てやりたいと思います。

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