フィールドスピーカーと言っても何のことかわからない人も居ると思う。フィールドスピーカーとは電磁石を使ったスピーカーのことである。スピーカーは磁石の枠の中にコイルがありコイルに電流が流れると磁界から力を受けてコイルが動く。(右手か左手か忘れたがフレミングの法則 ちなみにフレミングは英国人)コイルが動くとコイルに取り付けた振動板が動いて音が出る。
現在はスピーカーには永久磁石を使っているが50年くらい前は良質な永久磁石が無く電磁石を使っていた。電磁石を使ったスピーカーのことをフィールスピーカーと呼ぶ。 だからフィールドスピーカーには磁石の電源が必要なのだ。この電源をフィールド・エキサイターと呼ぶ。
私は10年くらい前にサウンドパーツでフィールドスピーカーの音を聞いてビックリして購入した。
http://www7.ocn.ne.jp/~soundprt/
それは私が生まれる前に製造されたテレフンケンの20cm位のスピーカーであった。後面開放の箱を作って聞いたがそれは生き生きとしたスピード感のある音であった。その後いろんな人がフィールドスピーカーはスピード感があると言っているのを聞いたのこれがフィールドスピーカーの一般的な特長だと考えてよいだろう。スピード感というのは別の言葉で言えば初動感度と言ってもいいと思う。
テレフンケン製のそのスピーカーはベークライトのセンターダンパーが割れてしまい修理ができず残念ながら使うことができなくなった。サウンドパーツで壊れたスピーカーを下取りしてくれた。そして代わりに少々グレードの下がるフィールドスピーカーを購入した。
このスピーカーではテレフンケンほどの感激を味わっていない。忙しくて電磁石の電流の調整などできていないからだと思うが、、、構造が悪いのか状態が悪いのか、、、
今考えてもテレフンケンの音は凄かった。
何故フィールドスピーカーが良いのか私なりの考えを書いてみる。
フィールドスピーカーが製造された当時はアンプの出力は数ワットがせいぜい。その程度のパワーで十分な音量が出ることが第一優先であり周波数特性などは二の次であった。
今のスピーカーは周波数特性、歪特性などが第一優先であり小電力で大きな音が出ることは二の次だ。何故なら100w以上のアンプを作ることは技術的に容易になったからだ。
低い周波数まで歪がなく音を出すためには振動板が変形せずに前後に大きく振動しなければならない。そのためには振動板を強くしなければならず結果として重くなる。重いものを動かすには大きな電力が必要である。その他にもスピーカーの小型化の要求などの要因が重なり尻が重くなってしまったのが現代のスピーカーだ。でも上記のようにアンプは大出力になったから問題ないと言われている。
現代スピーカーの音に慣れているとフィールドスピーカーはすごくスピーディーに感じる。フットワークが良いというか反応がいいというか。周波数特性が広くなくても、歪が少々多くてもそれを補ってあまりある魅力がある。だいたい周波数特性なんて部屋による影響のほうが大きいからスピーカーの特性が少々良くてもマスクされてしまうのだ。また超低音が無くても人間は脳で補って聴くことができる。だから能率を第一優先にするのは正しいのかもしれない。
スピーカーに限らず通常いろんな要素がある場合、あるものを良くしようとすると他の要素は悪くなる。全てを高いレベルで実現しようとして高度な?妥協をするのが今の技術の方向性だ。でも割り切って一つの特性だけ尖がったものを作るというアプローチもある。
今の仕事でもそんな方向で物づくりをしてお客さんにアピールできるようなことを模索したいと考えているのだが。なかなか難しい、、
0 件のコメント:
コメントを投稿