2009年8月18日火曜日

総選挙公示

総選挙が公示された。

海外では8月18日から23日まで領事館などで投票できる。私達は今度の土曜日に投票に行く予定だ。

今回の選挙では政権交代の可能性がある。しかし自民党も民主党も政権公約の内容が不十分であり、将来を託すには非常に不安がある。この二つから択一しないとならないというのは寂しい限りだ。それでも国民として責任を持ってどちらかを選ぶ必要があるのでしっかりと選択をしたい。

選挙の争点について一つ書いてみたい。

今回の議論に地方分権とか道州制の議論がある。麻生首相は所信表明で道州制の導入についても言及している。よく言われるように道州制は国の形を大きく変える選択である。明治維新で中央集権になったものを再び地方分権に戻すという選択だ。

私も道州制についてはずっと前から漠然とではあるがイメージを持っていた。10年以上前に義理の父が村会議長をしていた。その時の仕事の中で大きなものは陳情であった。これによって補助金や地方交付税を確保・増額してもらうのだ。陳情の先は地元選出の自民党国会議員や大臣など。地方自治体は国のご機嫌を伺うことに時間を割き、国会議員は地元の行政にかまけている。国会議員は国の将来を方向付けすることが責務なのに。


このような状況を脱するためには地方交付税は廃止し、税収は地方に入れて地方の裁量で使うのが良い。しかし東京などの大都市は税収があるが地方によっては充分な税収が得られない所もある。だからそれぞれの地方自治体は経済的に自立できる単位にする必要がある。この地方自治体の規模は大きくならざるを得ない。これが道州という単位であろう。(州という言葉はピンと来ないが)地方自治体が自分の自治体からの税収で自立し、国は地方自治体からの納付金で運営され防衛・外交という必要なことのみ行う。今までと全く逆の構造だ。そして究極の小さな政府である。このようなことを義父の姿を見ながらずーっと考えていた。多分だれでも考えつく発想だと思う。


小泉改革の三位一体の改革は理想としてはこのような姿を目指していたかもしれないが官僚により骨抜きになり三位一体ならぬ三枚おろし?の改革に終わってしまった。


その他小泉の改革もほとんど全て骨抜きされてしまったし、小泉はライフワークであった郵政民営化さえ実現すればあとはどうでもいいという非常に無責任が首相だったので改革は全く進まなかった。その上小泉を引き継ぐ安倍が息切れしてしまったので改革は頓挫してしまった。


このところ、小泉の改革は全てだめだったと言って改革以前の状態に戻そうとする動きがある。しかし問題は改革の方向性ではなく改革ができなかったことだ。三位一体の改革もしっかりとやっていればよかった。地方への財源移管が充分に行われない状態で中途半端のまま放置したのが問題である。


それがいつの間にか改革することそのものが間違っていたという議論にすり替えられている。こんなムードのまま選挙に突入するのも怖い気がする。

自民党も小泉改革は行き過ぎたと総括しており、(総選挙も経ずに)宗旨替えしてしまった。本当なら自民党が小さな政府、民主党が大きな政府という主張で選挙を争うのだろうが。自民党は「自由に民主党の真似をする党」のことではないかと思うくらいだ。


道州制というのは「この国のかたち」を根本から変える議論である。中央集権的な官僚制からの決別である。本当の意味の道州制になれば国の官僚の80%以上が地方に移り地方の行政を運営することになるだろう。自民党がそこまでの覚悟をもって道州制をマニフェストに入れているとはとても思えないし真意も伝わって来ない。


もう一つ。最近の傾向として欧州でも右派勢力の台頭がある。まだまだ小さな勢力に過ぎないが確実に伸びている。これは世界的な傾向だろう。日本でも同じことが起きると困る。今回の選挙ではそうのような恐れのある政党が出てきているので非常に心配だ。
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