買う時になって日本で買う値段よりかなり高いことがわかりびっくりしたが、そのまま購入した。山小屋で飲むビールが高いのと同じだから仕方ないか。
その中の一冊 筒井康隆著 「銀齢の果て」を読んだ。
丁度 後期高齢者医療の問題などで老人が大変な時代になっているが、近い将来は年金が減るわ、老人は増えるは、医者は不足するは今よりも大変なことになる。
そんな未来を見越した小説である。「断筆宣言」前後の筒井康隆は少々読みにくかったがこの本は初期の筒井康隆が帰ってきた感じである。
小説では以前も機関銃で人を殺しまくっていた筒井康隆であるが自らが老人となって書いたこの小説は非常に説得力がある。
たった一つの章でできていて、途中に一行も空白の行がない。テンポのいい映画を観ているようだ。
だから一気に読んでしまった。
70年代の筒井康隆の社会批判はインテリ層が社会を批判しているという感じだった。つまり国民の半分くらいは社会の不条理に気づかない、あるいは気づいていても生活に関係なかった。
ところがこの小説は今国民全体が直面している社会矛盾を描いている。
SFと現実社会が接近して来た。70年代より悪い世の中になったのだ。
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