2009年6月10日水曜日

食料自給率について

 日本の食料自給率について少し前の文芸春秋の記事を読んだ。

 私は以下のように理解した。
「食料自給率というまやかしの数字を使って農水省は、予算の維持拡大を図っている。農業の振興と国民の安全のために意味のある指標を用いて政策を行なうできだ」

 今まで食料自給率について漠然としか理解していなかったが定義は以下の通りだ。

食料自給率  = 国産供給量/国内供給量
 =(国内生産量-輸出量)/
(国内生産量+輸入量-輸出量)

 これを国民一人・一日あたりのカロリーベースで計算したものがカロリーベース食料自給率だそうだ。

 ちなみに2007年の食料自給率は

自給率 = 1016kcal/2551kcal = 40%

 しかし日本人の一日あたりの適正カロリー 1805kclaを使うと以下のようになる。

自給率 = 1016kcal/1805kcal = 56%   

 つまり必要とされるカロリー以上に食料が供給され捨てられることにより実際以上に自給率が低く見えている。

 また野菜の重量ベースでの自給率は80%であるが食料全体に占める野菜のカロリーは3%程度なのでカロリーベースの食料自給率には貢献しない。

 このほかにも生産額ベースでの自給率もあるがその場合の自給率は66%だそうだ。ただ生産額での自給率は経済学上では意味があるかもしれないが食料安全保障上は意味がない。飢えているときに値段の高い国産の高級食材を食べれば、凌げるかというとそうではない。

 カロリー自給率を使うことに対する異論は多くあるようだが、金額ベースよりは良いと思う。だがやはりおかしい。食料自給率の定義で、食料の輸入が途絶えた場合にはどうなるか?下の式で輸入量を0とすると食料自給率は100%になる。

食料自給率  

 =(国内生産量-輸出量)/(国内生産量+輸入量-輸出量)


 食料自給率は100%であっても飢餓状態になる。つまり現在の食料自給率の定義は間違っている。いくら食料自給率を改善してもあるべき姿にならないということだ。

 私としては以下のような定義が良いと思う。というより自給率の定義はこうだとずっと思い込んでいた。

食料自給率 = (国内生産量-輸出量)/国民の適正カロリー

 輸出量が多いと有事には輸出をとりやめて緊急的に自給率の低下を防ぐことができるのでこれも重要だ。
 できたら栄養素や間接食材(飼料など)ごとに自給率の目標を定めて農政を行なうことが望ましい。飢餓になった時に米だけ食べて何年も過ごすと栄養バランスが崩れて健康に良くないので。

 減反をやめ米を大規模農家でしっかり作り、農地を維持し国土を保全することが先ず第一歩だ。米の過剰分は輸出に回すとすると食料自給率は変わらない。しかし生産量が増えればいざという時に食っていける。

 文芸春秋の記事によると、農水省では3000人の職員が食料自給率の統計作りに従事しているそうだ。今の食料自給率は農水省の予算獲得のためだけに意味がある数字なので、これほどのコストをかけて取り組んでいるのはまさに国費の無駄使いだと感じる。農水省が国民不在で自己保存活動を行なっているだけだ。もっと進むべき道を正しく示す指標を定義し、役に立つ仕事をして欲しい。

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