2009年7月30日木曜日

LinnのDynamik電源

Linnは早い時期からスイッチング電源を機器に搭載している。私の持っている機器ではLINTOがスイッチング電源を搭載している。もちろんSneakyDSもそうだ。当時Audio機器にスイチング電源を使うことは技術的な困難が伴った。スイッチング周波数は数100kHzであり振幅が大きいので電源が発生するノイズをAudio信号に伝えないための技術が難しいのだ。だからLINTOのようなMC対応イコライザに搭載したのは凄いと思う。

スイッチング電源のメリットは効率が高い、小型化できるということが一般的だがAudioについて言えば応答が早いということがメリットだと思う。通常の電源は1秒間に50回または60回しか回路にエネルギーを供給できない。(両波整流の場合でもその2倍)Audio信号の変動によりエネルギーを供給していない間に電源の負荷が増えるとエネルギー供給が追いつかない。しかしスイッチング電源は一般的に数100kHz~MHzのスイッチングをしているのでエネルギーを供給する頻度は通常の電源に比べて遥かに多い。したがってAudio信号の変動に素早く追従する。

今回LinnからDynamikという電源がリリースされた。いままでの電源からUpgradeしたものだ。技術的な詳細はわからないがおそらく共振型スイチング電源を使用しているものと思う。
共振型電源はLC共振回路によりスイチング波形を共振させて正弦波に近づけ高調波成分を減らすことによりノイズを少なくするものだ。それと同時に共振回路で電圧が0の時にスイッチング素子をonしたり電流が0の時にスイッチング素子をoffするように制御して回路の不連続をなくし損失やノイズ発生を減らす方式だ。

早速LinnのForumには「KlimaxDSをDynamik電源に交換したらもの凄く音が良くなった。」とか「LP-12をRADIKALとURIKAに変えたらLP-12の音がDSを引き離したがDSのDynamik化で差が縮まった。」などという羨ましい書き込みがある。新電源は音質向上に効果があるようだ。私にはとてもこれほどの投資をする財力は無いし、そもそもDynamik電源に交換することが可能な機器を持っても居ない。指を咥えて見ているだけだ。

いずれにしてもAudioにおいて(いや全ての電子機器において)電源は最も重要である。Audioでは喩えは適切でないかもしれないが、電源を切り紙細工のように切ったり張ったりして音を作るから電源の品質が悪いと音が悪くなる。回路の設計においてPSRR(Power Supply Rejection Ratio)を上げて電源の悪さを隠すことも可能だが完全に隠すことは不可能だ。だから電源は極力綺麗かつ高速にする必要がある。

久し振りにLinnを訪問して仕事の打ち合わせの合間に最近のAudioの製品の技術動向について話をして見たいなあと思った。
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